落合恵子のクレヨンハウス日記(25年9月)

……9月になれば、風は透き通った薄紫色に
  9月になれば、古いジャズかスタンダードナンバーが
  聴きたくなって……

★などと書いてみて、わたしが9月に、聴きたいジャズやスタンダードは?
 月並みながら、9月にはこの通信にも必ず登場させてきた、映画『旅愁』のテーマソング、その名も「セプテンバーソング」。
 歌詞もいい。というか、歌詞が心に刺さる。
……5月から12月までは長い時があるけれど、
  9月になると日は少しずつ短くなり、
  木々の葉の色を変えていく
  この残り少ない日々を
  わたしはあなたとすごしたい……

と、書いても、うん? 日本語に直してしまうと、なんだよ、であるのだ。けれど、メロディと共に聴くと、なんともなんとも。
 シナトラもいいし、ヘレン・メリルやサラ・ヴォーンも歌っていたかなあ。
 若い頃、つまり5月に居た頃、ただただ憧れたものだ。
 アース・ウィンド・アンド・ファイアーの曲は「セプテンバー」だったか。

 夏の休暇でイタリアに旅した米国のシングルの女性。若いと呼ばれる年代はすぎた彼女が、旅先で出会ってしまった、ひとつの恋。

 映画『旅情』の主題歌は「サマータイム・イン・ヴェニス」。主演の女性がキャサリン・ヘップバーン。ラストに近く、米国に戻る彼女は言うのだ。一字一句覚えているわけではないけれど。

……いつだってわたしは、さよならが下手だった。パーティに出れば、帰るのがいつも最後のひとりになってしまう……。

 キャサリン・ヘップバーンがせつなくも、凛々しく、そして哀しかった。かなしい、は、そう悲しいではなく、哀しいなのだ、と十代だったかな、リバイバルだかテレビで観たわたしは思ったものだ。

★そういえば、8月の終わりの、8月29日23時台にスタートし、ニュース等をはさみ、30日零時台まで、NHKラジオの40分×2の番組。リクエストも大歓迎。詳しくは、クレヨンハウスHPのお知らせ欄を。選曲も自分ができるから、前掲のような曲をたっぷりとかけようかな、と、まだ何も決まっていないのだが……。7月から8月末までは、まだたっぷりとあるわけ、ないけれど。

★もうひとつお知らせ。

 8月30 日(土)、毎月一回主催しているクレヨンハウス「朝の教室」。戦後80年の今年の8月の講師は、80歳の、わたし、です。「どなたにしようか、8月って、みんな別荘に行ったりして、いないんだよね」とか言い合っていた時。「80代の仲間はすでに講師に頼んでしまったし」、などと首をかしげていた時、「だったら、やろう」とわたし。別荘もないしネ!

 いつもの「朝の教室」では企画と司会が仕事。あとは講師と楽しくランチをいただいて……のラクーな、いや、司会ってホント骨が折れるのだが、黒子風にやってきたのが……。8月30日は前面に。夏の終わりのこの日、ご一緒に過ごしませんか?
 すでに会場のほうはいっぱい風だけれど、オンラインは前日19時まで受付中。80歳、元気です!

★カレンダーの上では夏の終わりのこの日に開きたい本は。迷って迷って、迷い抜いた末に、シンプルに『どろんこハリー』はいかが。ああ、わんこと一緒に暮らしたい。

どろんこハリー』 
ジーン・ジオン/文 マーガレット・ブロイ・グレアム/絵 
わたなべ しげお/訳 福音館書店/刊 1,320 円(税込)