「春」を呼ぶ日

久しぶりに朝から吉祥寺へ。
 「久しぶりに」は朝からにかかる。
前日は午前中からNHKラジオで収録。この春から18年目を迎えた「落合恵子の絵本の時間」。
ディレクターの新井さんはアナウンサーの出身で、最近までニュースも担当されていた。
今回の収録が彼にとっては最後の仕事だ。
長い間、ほんとうにお世話になった。
本がなによりもの大好物というひとで、絵本にも実に詳しい。
その収録を終えてから、吉祥寺店に。
あれこれたまった仕事をすませて、そうだ、久しぶりにハンギングバスケットに季節の花を飾ってみようかと思いついたのは、前々夜にガーデニングの本を、もの入れの中に見つけたからだった。
その日は途中で帰宅したが、翌日は朝から出社。
クレヨンハウスに居る日の朝一番に当たる仕事は、ランチの味見からはじまる。その前に各セクションの部会もあるが、お昼も夕食も、お皿に少しずつのせてもらった料理をメニューの順にそって味見していく。味噌汁やデザートも味見をする。
どこまで過不足ない味見ができているかは自信はないのだけれど、食べることは大好きだから、苦痛にはならない。味、盛り付け、彩り、全体のハーモニーと、かじっただけの栄養学。料理についての本もまた、個人的にわたしは大好物、だ。
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わたしのもうひとつの大好物は季節の植物、特に花たちだ。その大好物を使って、クレヨンハウスに丸ごとの「春」を呼ぶことに決めて、出社した。
暖かくなったり寒さが逆戻りしたりと不安定な季節ではあるけれど、春の花にさらに咲いてもらおう。
球根性のムスカリは今年もみっしりと葡萄を逆さにしたような紫の花穂をつけてくれてる。細く長く伸びた葉の間から土筆にも似た形の赤ちゃんの小指ほどの花をつけはじめたことに気づいたのが、先週だったか。それが、大型の丸いプランターいっぱいに。表参道からいっしょに引っ越してきてくれたムスカリ、香りもとてもいい。
定番ビオラの黄と紫、そしてアクセントとして少しのオレンジ色のビオラも。
新種なのか、いつもの年よりも花が大き目の忘れな草の、やさしい蒼。
種子から育ってくれた大好きな矢車菊は、丈がいま15センチほど。「牧草の雑草」などと呼ばれているようだが、これも大好きなアグロステンマも、同じ去年の秋に種子撒きをしたので、背丈も同じぐらいまで育っている。
表参道で子ども時代を過ごしたアキニレの樹。気がつけば埼玉からやってきた小さな「園児」がビルの2階の窓を越えて……。ずんずん伸びて、トラックに載せて運搬できないと言われて……。泣く泣く諦めた。
写真絵本『ハルニレ』でおなじみの作家でありナチュラリストの姉崎一馬さんに「姉崎さんの、ハルニレの絵本が大好きで」とお伝えしたら、困ったような表情をされて「これは、アキニレです」。
本体そのものは引っ越すことはできなかったが、種子をスタッフに配ったりして、みんなが育ててくれた。3年間で、背丈が1メートルぐらい。細い枝に、ゴマ粒ほどの芽を吹きだたせている2026年3月半ば……。
さらに季節の花でハンギングバスケットをつくり……。
ビルなので、吊るすところがなく、考え抜いた結果、2900円だったか、あるものを購入。それに一日がかりでつくったバスケットや花のボールをぶらさげてみた。
吉祥寺近辺におられるかたは、どうぞ見に来てください。

退院して、3度目の春。
土を握り、花を飾れることが単純にうれしい。
昨日も多くのお客さまから「無理しないでください」とお声をかけていただいた。

球根性のムスカリは今年も元気

春の花々、ハンギングに吊るした

種から育ったアキニレの枝に芽が

3月下旬のエントランスはにぎやかです  







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落合恵子のブログ『明るい覚悟』